特定技能
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特定技能の4大欠陥点
出入国在留管理庁が「特定技能外国人」を増やすべく躍起になっています。
考えてみれば、彼らとしてはやらざるを得ない理由があります。
先の入管法改正で、法務省の「入国管理局」は「出入国在留管理庁」に格上げされました。
予算も増加されたはずです。
役職者のポジションも増えたはずです。
この理由は「日本にやってくる外国人の増加に対応するため」でした。
ところが、新型コロナウイルスの影響で激減・・・
東京オリンピック・パラリンピックは中止の危機に瀕し、
外国人労働者受け入れのための画期的施策であったはずの新在留資格「特定技能」は不評を買っています。
見込み人数なのか目標人数なのかわかりませんが、具体的数字を国会で提示しましたが、
現状、遠く及びません。
(コロナの影響もありますが、コロナ前から躓いていました。)
特定技能の欠点は何なのか?
- 本人が希望したら転職が可能であること
- 年齢と職歴が同じなら日本人と同じ待遇(給料の設定額など)にしなくてはならないこと
- 仲介業者の関与を認めたことを
- 多くの職種において5年間限定したこと
出入国在留管理庁がマッチングイベントやマッチングウェブサイトを設けるようですが、
マッチング機会を増やせば自ずと転職者が増え、その度に雇用側としては「特定技能はダメだ」という烙印を押していくことになろうかと思います。
"2.日本人と同じ待遇"については、同じ年齢で経験年数が同じであれば同じ年収にしてなくてはならないということは、特定技能外国人を雇いたいがために日本人の給料を引き下げる要因となります。
仮に「経験不問、年齢30才までOK」という求人だったとします。
特定技能外国人も同じ給与額にしなくてはなりません。
けれど、もちろん日本語は格段に下手です。
さらに上記に書いたように飛行機代や居住環境を用意するなどの手間がかかります。
"3.仲介業者の関与を認めたこと"で、構造的には技能実習制度の悪しき習慣・癒着を引き継いだことになります。
建設業なんぞは最悪で、特定技能外国人を雇用するにはJAC(このために新たに設立された団体)の会員にならなくてはならない(会費が発生します。)という定めが設けられ、「なんだそれ?」と憤りを感じました。
"4.多くの職種において5年が上限とされた"ことで、受入れ企業のみならず、外国人側からもそっぽを向かれました。
既に日本にいる外国人留学生をあてにしたようですが、大金はたいて留学して、アルバイトで苦労しながらやっとの思いで卒業した者たちが「5年後に帰らなくてはならない制度」にのるわけがありません。
建設業、造船・船舶工業は特定2号への切り替えが可能でゆくゆくは永住権も得られる可能性がありますが、建設業は不人気職です(造船・船舶工業は詳しくないのでわかりません)。
介護職も在留資格「介護」への切り替えができますが、高い日本語レベルが求められ、かつ不人気職です。
ホテル業界の動きを見てると解かりやすいのですが、「特定技能」ができるぞとなった時に積極的にベトナムなどの大学・短期大学を訪れて提携を結びました。
ところが蓋を開けてみると使い勝手が悪いということがわかり、その数か月後には「技能実習制度」の職種に宿泊(接客・衛生管理)が加わりました。
技能実習生は(失踪を除けば)少なくとも3年間分の労働力は確保できることが重宝されています。
いろいろなしがらみに巻き込まれて生まれた「特定技能」で、
作った自分たちとしても不服があるのでしょうが、その責任は負わざるを得ません。
だからといって、雇用側からも外国人からもそっぽを向かれたもののPRを強化していくより、
内容を抜本的に変えるか、観念して「入国管理局」に戻った方がよい気がします。PR -
特定技能、外国人数低迷 初年度想定の1%未満(中日新聞)
出処:中日新聞
内容を決めぬまま法案を強行採決で通して、
出てきた内容は技能実習生制度の既得権益を著しく損なうことなく、
国連の奴隷制度指摘にやや配慮した形にしたため、
(発端となった)産業界の要望とは著しくかけ離れた使い勝手の悪い新在留資格「特定技能」が出来上がりました。
それに便乗してできた「出入国在留管理庁」は傲慢となり、
サービスの劣化がひどいです。
外国人を受け入れるために格上げされ、予算も増えたはずなのに、
成果が上がらないなら、その責任を取って格下げしてもらいたいです。
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ベトナム人特定技能1号
出処:北日本新聞&gooニュース
2019年5月14日の北日本新聞の報道によると、
富山県の企業で働くベトナム人男性の在留資格「特定技能」の認可を受けたとのことです。
この報道内容が事実だとすると、
現時点で、特定技能にかかる日本とベトナム間の2か国間協定は結ばれていないので、
既に、採用活動においては2か国間協定は「不要」という解釈が成り立ちます。
この2か国間協定の交渉は、外務省が指揮権を持っているのか、法務省に委ねられているのか不明ですが、
仮に外務省が指揮権を持っているのだとすれば、今回の認可は外務省としてはないがしろにされているのかと。(追記:サインするのは法務大臣のようです。)
それは交渉相手であるベトナム政府も同じですが。
もしかしたら、外務省へもベトナム政府へも一報を入れてあるのかもしれませんが、
それなら、なぜ待たなかったのかという疑問も・・・。
情報が錯綜し、未だ疑問が尽きない「特定技能」です。 -
特定技能の良さについて考察
テト(ベトナムのお正月)明けに、無事に日本へ出発したエンジニアがの1人は既婚者でして、日本の生活にも慣れてきたので、
夏・秋ごろに妻を日本へ呼んで、
いっしょに住みたいと言っている
と、採用してくれた企業様から連絡を受けました。
ベトナムでは結婚しても婚姻届の手続きを行わいことがあるようなので、
婚姻届の証明書があれば、ほぼ確実に妻を日本へ招くことができますし、
手続きもさほど難しいではありませんとお伝えしました。その際、妻は、日本に来てから入管を訪れ、資格外活動の申請を行い、
それが認められれば、1週間に28時間は風営法にひっかかる職業を除き、
働くことができますと添えました。
御社で雇用するのもOKです、と。
このとき、ここ数日、ずっと考えていた「特定技能のメリットは何だろうか?」という疑問がずっと答えが出ないままだったので、今回のケースでは「使えるな」とひらめきました。彼の奥さんは、現時点では日本語がまったくできません。
でも、今からベトナムでベトナム人の先生から基礎を学び、
日本で日本語漬けの生活を送れば、N4レベルは容易いはずです。同時に、夫が勤める会社で、
最初は家族滞在の資格外活動でアルバイトとして働きながら実務を覚えていけば、
技能試験の対策にもなります。そして、「特定技能」へ切り替えることができれば、
就労時間の制限もなくなります。"これはいい使い方だ!"と閃いたと思ったのですが、
その後、すぐに気づきました。今回の会社さんは製造業です。
製造業の場合、特定技能は上限5年であり、
5年後にまた家族滞在(=仕事が上手になったのに、時間制限再登場。違反すれば妻の在留カードは更新できないというリスクを抱える。)に切り替えなくてはなりません。5年で良しとするか、否か・・・。
また、特定技能1号は永住権の計算期間に含まれないようですし・・・。
なんだかスッキリしないのが特定技能です。
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全国最低賃金均一化
外国人労働者が都市圏へ集中するのを避けるため、最低賃金全国均一化について議論すべきでないかという質疑が国会でなされていました。
この一連の質疑の中で、生活費が大都市と地方都市では異なることや経営的観点も考えなくてはならないことも語られていました。
・生活物価・経営的視点・外国人と日本人の関係性
均一化する最低賃金は、最高値・最低値・平均値の3通りがあるとして、最低値や平均値ではあれば、(最低賃金の受給者たちは)東京での生活が困難となります。
では、最高値にするとしたら、JV29の教え子たちが技能実習生として働く島根県の最低賃金は764円、東京都は985円(※いずれも掲載日時点)なので、給与支払だけで1.28倍、会社負担の社会保険料を併せたらそれ以上に、突如として人件費が膨らむことになります。企業側が易々と容認できるわけがない。
では、外国人だけは最低賃金均一化となれば、最低賃金最低値の県?道?では、外国人が優遇され、日本人が冷遇されるという事態が起こることになります。日本国民を代表している国会議員たちが外国人優遇措置を創るなんぞ正気の沙汰ではない。
従って、議論するだけムダなのではないだろうか・・・???